2010年12月記事一覧
「父の79歳の誕生日」
2010年12月31日
毎年、大晦日は両親と兄家族そして僕の家族と父の誕生日ディナーです。
1931年12月31日生
いつまでも元気でおめでとうございます!!
「「河庄」小春」
2010年12月30日
南座の顔見世興行も26日に盛況のうちに千秋楽を迎える事ができました。
ご観劇下さった皆様この場を借りまして御礼申し上げます。
又、本日松竹座公演の舞台稽古が終了しやっと今年の仕事納めです。
今年は11ヶ月舞台に立ちました。松竹座の「仮名手本忠臣蔵」塩谷判官に始まり、歌舞伎座さよなら公演やコクーン歌舞伎での「佐倉義民伝」8月の「暗闇の丑末」
後半9月からは西日本の巡業、10月11月は大阪城での平成中村座12月は京都南座1月は大阪松竹座と5ヶ月間東京を離れています。
歌舞伎座建て替えの為に各地での公演が増える事はとてもすばらしい事だと思っていますが、ホテル生活が4ヶ月目になるとさすがに精神的に休まる事がなく、本音を言いますとつらい事もありますが、舞台でお客様の前に立ちますとすべてを忘れ芝居に没頭してしまいます。
今月からブログを始め、役者自身の考えや気持ちを直接皆様にどこまでお伝えるすべきか分かりませんが、これから芝居についての私の考えを折に触れお話していきたいと思います。
12月公演の千秋楽の翌27日よりすぐに大阪松竹座初春興行の稽古に入りブログの更新ができませんでした。
やっと稽古が落ち着きましたので、まず12月の舞台の事を少しお話したいとます。
舞台を観て頂いてない方には退屈な話です。申し訳ございません。
12月の顔見世は「河庄」の小春を初役で勤めさせて頂いた事が私にとって、大きな喜びでした。この狂言は、私の先祖鴈治郎家にとりまして最も大事な狂言の一つです。
上方歌舞伎の代表的な狂言「吉田屋」伊左衛門・夕霧「封印切」忠兵衛・梅川「曾根崎心中」徳兵衛・お初と共に、男女の役を既に経験済みでしたが、この「河庄」は治兵衛は勤めましたが、小春は初役でした。
上方和事で立役は「吉田屋」伊左衛門、女方はこの小春が最も大事な役の一つであると父から聞いておりました。
曾祖父初代鴈治郎の生涯のあたり役である治兵衛の相手役この小春は、まず死を覚悟している事から始まります。絶望の淵に立った時、愛した男性との死を決意しますがその相手の奥様からの一通の手紙をきっかけに、気持ちが離れたと嘘をつき相手の男性を奥様の元に返そうとします。後半の約30分はじっと下を向いてほとんど台詞はありませんが、その間治兵衛の台詞を聞きながらすべての言葉にじっと一喜一憂します。この場面になる迄の約二年半のことが走馬灯のように頭を横切ります。勿論、舞台ではそんな場面は無く、原作にもその場面は書かれていませんが、私の脳裏に創作されていきます。
初めて会った瞬間、起請文を取り交わしお互いの気持ちを確かめ合った瞬間等が頭に浮かんできます。
しかし、義太夫の狂言はまず義太夫の勉強から始まります。歌舞伎で義太夫の狂言のお役を頂くと、私まず基の義太夫を聴きます。まそれが原典になっているからです。勿論お人形と人間の動きは違いますからそのまま歌舞伎に移しては上演できません。しかし、台詞の言い回し義太夫訛りや役の性格、人物像は勉強するべき重要な事だと考えています。
小春のお役は今回演じさせて頂き前半から苦しい部分が続きますが後半の台詞の少ない部分が非常に感情が動き、死を覚悟する人物ですので演じていて大変に楽しいと言っては語弊がありますが、どっぷり小春になれる時間帯でした。本心を隠す事があまりにつらく、治兵衛に「犬、猫、人の皮着たどどどど狸め」とののしられる時じっと我慢して呼吸が止まり気が遠くなりそうになります。治兵衛の台詞が終わり一間あってやっと呼吸が出来ます。
また起請文を「焼きなりと破りなりと・・・どうなと勝手にしとくなはれ」と兄の孫衛門に言っている時も呼吸がずっと止まっています。
治兵衛の「あんなおなご思い切りました」「早よ帰りまひょ」の二言はポイントだと思います。思い切ったという言葉で奥様の言葉に報いれたという気持ちとこんな言葉を言われてしまったという悲しさ。又、後の台詞で全てが終わったという絶望感と一人で死のうという決意が浮かんできます。日によってほっとして口元に笑みが浮かぶ時もあれば、すっと涙が浮かぶ日もあります。
治兵衛がいったん外に出て戻って来る数分の間は29ヶ月二人の時間が浮かんできています。
治兵衛が戻って目が合った瞬間はいフッと現実に戻り、顔を背ける時も消えていない愛情を隠すことがつらく嗚咽が漏れそうになりますが、決して治兵衛に悟られまいとする事が苦しい瞬間です。毎日父の治兵衛を肌で感じその日その日で毎日オンタイムの出来事として演じることに集中致しました。
上方の役者は手取り足取り教わらず自分で勉強してきた事をだめだししてもらうことが常になっています。
父の治兵衛にを至近距離で感じ最高の教科書を間近に体験できた事が今年数多く増えた財産の中で最高の財産でした。
芝居の事を書き始めたら終わりが無い事に気づき、年を越しそうなので次回にまた勝手なお話させて頂きます。
一年間の皆様への感謝の気持ちを込めて
よいお年をお迎え下さい。
「楽屋のMerry X'mas」
2010年12月25日
今月の南座の楽屋に友人からプレゼントして頂いたクリスマスツリーが立っています。
楽屋の中もクリスマス気分になってきました。
僕はいつものように舞台を務めてきますが、皆さんよいクリスマスを!!
「雑誌掲載」
2010年12月25日
12/27発売 世界文化社
「家庭画報 2011年2月号」 "文化人が愛するホテル"
日頃よく利用するホテルと食事についてお話しました。
僕の好きなメニューをコースにして頂きましので
少しお高いのですが、何かの記念やイベントの時に是非ご利用下さい。
ホテルオークラの桃花林は僕にとっても特別なレストランです。
「TV中継のお知らせ」
2010年12月24日
気が早いのですが、
1月2日(水)午後7時〜10時「こいつは春から〜初芝居生中継〜」NHK教育テレビ
初春松竹座公演の初日の模様がNHK教育テレビで生中継されます。
「吉田屋」と「人間豹」は一部舞台中継予定されていますので楽しみにして下さい。
来年のことを言うと鬼が笑うといいますが、放送迄10日もありません。
顔見世も本日からあと4日で千穐楽ですが、翌27日から31日迄松竹座にてお稽古です。
元旦はお休みです。
公演の詳細はスケジュールをご覧下さい。
「コメントについて」
2010年12月22日
コメントありがとうございます。
シンプルなホームページを作りたかったので、この先は不慣れですが、ブログで色々発信していきたいと思います。
今後コメント欄から頂いたコメントは基本的に公開させて頂き、
非公開ご希望の方は
nakamura@senjaku.com
宛に直接コメントを頂きたいと思います。
必ず私が見させて頂いております。
宜しくお願い致します。
扇雀
「1960年生まれ」
2010年12月22日
CHATEAU LATOUR 1960
このワインは私と同じ歳です。
この先はお酒に興味の無い方はごめんなさい。
十数年前に友人に誘われ生まれて初めてワインのオークションに参加しました。購入するつもりは無かったのですがこのボトルが出品された時に思わず手を挙げオークションに参加してしまい、運良く購入する事ができたのです。同じ歳生まれという事で何かが呼んだのでしょう。
日本では還暦のお祝いを大きくする習慣がありますが、欧米は50歳HALF CENTURYを大きく祝うと聞いた事がありこの機会に開けようと決めていました。
その日がやってきたのです!12月19日誕生日当日にオープンしました。
このCHATEAU LATOURはフランスボルドーの五大シャトーの一つに数えられているワインで人気実力を兼ね備えたワインだと思います。
コルクが古くなっていますので奇麗に開かないケースが考えられるので責任を負う意味も込めて自分でオープンにチャレンジしました。
結果は大成功! コルクは途中で折れましたが、最終的にポトルにひとかけらも落とす事無く抜栓できたのです。まず第一関門突破。次はデキャンタして香りです。何と生きているではありませんか。50年振りにボトルの外に出てきた液体は芳醇の香りを器一杯に広げて呼吸を始めました。グラスに注ぎ一口含み口に空気を入れます。口中に香りが広がり鼻の方まで広がってきます。一生に一度の瞬間です。たかがワインに何大げさなとお思いでしょうが、趣味の世界は周りの方から見ると理解できないものかも知れません。
この感動を知る事は舞台に繋がるのではと思っています。一生このお酒を飲まなくても楽しい人生は十分送れると思います。舞台を観なくても楽しい人生は送れると思います。
ですが、この体験は人生の幅が広がるような気がするんです。多くの感動を知る人がより素敵な感動を自分以外に伝えられるような気がします。こじつけかも知れませんがそんなことも思いながら50歳の晩餐を過ごしました。
持ち込みを許可して下さった「二教」のご主人に感謝致します。
「雑誌掲載」
2010年12月19日
12/1発売 世界文化社
「家庭画報 2011年1月号」 "中村勘三郎が率いる歌舞伎の寵児たち"
大阪「平成中村座」の横から大阪城をバックにして篠山紀信先生に撮って頂いたポートレイトが掲載されています。また中村座の出演者皆さんの色々な思いが語られています。
舞台を観て頂いた方は公演を思い出して頂き、ご覧になれなかった方は想像して頂き、来年11月から始まる浅草での七ヶ月に渡る平成中村座公演を楽しみにして下さい。
「誕生日」
2010年12月19日
本日50歳の誕生日を迎えました。
大学卒業後に歌舞伎の舞台に復帰し28年が過ぎましたが、常々この50歳という年齢を本当の意味での歌舞伎役者のスタートと目標にしてきました。一生かけても自分自身の満足する終着点はないと思いますが、この年齢までに基礎固めができればと勉強してきました。
まだまだ未熟ですが、舞台意外のことも発信しながら歌舞伎の魅力を多くの方に知って頂きたい気持ちをこめて本日公式ホームページを開設しました。
皆さん末永く宜しくお願い致します。
扇雀