「寺子屋・千代」
2011年12月14日
寺子屋は数ある義太夫狂言の中でも上演回数の多い人気狂言です。
しかし自分の子供を上司の為に身替わりに差し出し死なせてしまう内容は、どう考えても現代人の私達に理解は出来ず、また自分自身に置き換えることも出来ません。
しかし、我が子を愛する気持ちや兄弟愛、夫婦愛、忠誠心等普遍的な内容を含んでいる点が観る方の心に響くのでしょう。
私が今回演じる千代は以前台詞を住大夫のお師匠に稽古をしていただいた役です。
今回我が子を寺子屋に寺入させる場面が割愛されていますが、歌舞伎でその場面を上演する時に小太郎との別れで抱き知る方とそうでないやり方があります。私は後者の抱きしめないやり方です。文楽のとおりのやり方で母親の苦しみを子供を突き放すことで表現します。
千代は舞台上にいる時間は少ないのですが重要な役割を占めています。
台詞も文楽の語りを参考にさせて頂き、テンポのある言葉にしています。
「子を殺させにおこしておいて、どおまあ家へいなるるものぞいの」
という台詞で、どおまあ家への部分を二度に分けて言う言い方は住大夫師匠の教えでやらさせていただいています。
松王丸との夫婦愛。わが子との親子愛が表現できればと思って勤めています。
勘三郎のお兄さんの松王丸で千代を勤めるのは初めてですが、これまでに夫婦は何度も勤めていますし、横にいて松王丸の苦悩がほとばしり、夫婦で苦労を共にしてきた空気感が悲しくもあり美しくもありひしひしと伝わってきます。
この一つ一つが経験となり自身の財産となっていきます。
経験が大切な世界なんです。
本日中日となりました。
後半まだご覧になっていらっしゃらない皆さん劇場でお待ちしています。
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昼の部は来週伺う予定です!
楽しみにしてます!!
これで年内の劇場での歌舞伎は見納めなので
北山さん
お待ちしています。最後の歌舞伎楽しんで下さい。