中村扇雀の公式ブログ

「ご冥福をお祈り申し上げます」

2012年2月24日

京屋の伯父さんが亡くなられました。

扇雀襲名の歌舞伎座公演で吉野川の雛鳥をさせて頂いた時に定高で出演して下さいました。歌右衛門の叔父様が指導してくださっていたので叔父様は細かい指導はなさいませんでしたが、舞台上で親子の心が通ってたことに感銘いたしました。肌で役作りを教えてくださっていた気が致します。
その襲名の時に故松竹永山会長かが雀右衛門さんの赤姫を良く見て勉強しなさいとのお言葉を頂きました。手本にしなさいとの進言でした。

歌右衛門の叔父様、梅幸の叔父様、芝翫の叔父様そして京屋の叔父様さらに父という女方の教科書ともなるべき先輩方が沢山いらしたことは私にとっての財産でした。

ついに父一人となってしまいました。

各々の役で先輩方の教えを活かすよう努力していますが、直接自分の目と耳で触れられなくなってしまいました。脳裏の中から引き出しを紐解く作業が続きます。

先輩の舞台を見ること。このことから藝道は始まるのだと思いますが、その見るべき先輩の舞台が無くなっていく寂しさと責任感を感じます。

評論家の方はよく名優が亡くなられると一つの時代が終わったとおっしゃいますが、実際に歌舞伎を継承している私達はそんな事言っていられません。先祖や先輩から受け継いだものを次に繋げることこそ使命だと思っています。終わらせるわけには行かないのです。

今月の勘九郎襲名もその受け継ぐことの現れだと思います。伝統を受け継ぐことの大切さは歴史の中に生きている意識を持つことではないでしょうか。

日々歴史を作って生きているのです。

次の世代のために。

女方の一つの形を歴史に残された京屋の叔父様のご冥福を心からお祈り申し上げます。

コメント(2)トラックバック(0)

コメント

本当に残念でなりません。
出来ることなら、もう一度舞台を拝見したかったです。良く雀右衛門さんはどうしていらっしゃるかしら、お元気なのかしらね、などと劇場で話をしていたのですが・・・。
また1人、逝かれてしまいましたね。寂しいですね。
本当に心よりご冥福をお祈りいたします。

扇雀さん 後輩の皆さま方にはより良い歌舞伎の舞台をつくっていって下さることを望みます。

今月 ご一緒されている芝雀さん、お寂しいでしょうけど・・・。

北山さん

ご自宅に戻られた京屋の叔父様はとても綺麗なお顔でおやすみになられていらっしゃいました。
ご一緒の舞台に立たせて頂いたことを胸に刻み今後も精進していきたいと思っています。

コメントする

は必須項目です)

 サイト上には表示されません
   
 

トラックバック

このページのトラックバックURL:
http://www.senjaku.com/cgi/mt4/mt-tb.cgi/253