中村扇雀の公式ブログ

「玩辞楼十二曲「吉田屋」」

2012年12月13日

明日中日を迎える顔見世興行も連日多くの方にご来場頂きありがとうございます。

昼の部で私が出演しています玩辞楼十二曲の内「吉田屋」のお話を少し致します。

この演目には伊左衛門で2回、夕霧で2回計4回出演していますので公演回数で言いますと
100回出演してきたことになります。
今回は101回目の父の伊左衛門で夕霧の新たなスタートです。

まず初めに準備段階として衣装選びから入ります。
掛け(かけ)を何を使用するか衣装やさんと相談から始まります。
夕霧は2枚掛けを使用します。
最初の出に前回黒を地色とした松竹梅の柄を縫い込んだものを使用しました。
2枚目は前回鴇色(ときいろ)と言ってピンクの地色の掛けを使用しました。

まず最初の掛けですが今年平成中村座の御所五郎蔵の皐月の時に使用した孔雀柄の掛けを使用しようかと考え父に相談しましたが、古風な感じが無く夕霧にはふさわしくないのではないかとの意見でしたので、通常使用している松竹梅の掛けを用意しました。
しかし、どうしても一度試してみたかったので衣装やさんに仕事をしてもらい舞台で使用出来る状態になった12月5日父の許可を取り使用してみました。
重さが従来使用していた松竹梅より軽く扱いやすいのですが、丈が短く重厚感に欠けやはり吉田屋の場面ではどうもしっくりきません。
かくて孔雀は儚い一日の生命となってしまいました。
しかし、このようなチャレンジは続けていくべきだと思っています。
伝統は革新から生まれるという言葉が大好きですから。

さて、2枚目の掛けですが、今回は私が伊左衛門を勤め父が夕霧に回った時に作った藤色の掛けを使用することにしました。この掛けは父がその時一度使いその後は衣装やさんの配慮でどなたも使用してない貴重な掛けです。
今回は私が使用させていたただきます。
非常に派手で幕切れの華やかさにピッタリの衣装で大変気に入っています。

これで衣装は揃いましたが後の準備は体型です。
常磐津の文句に「やせ衰えたが目に見えぬか」という言葉が出てきます。
すなわち夕霧が病で臥せっていた後の伊左衛門との再開ですのでふくよかな健康そうな体(てい)ではその言葉に合いません。

久し振りにダイエット敢行です。
糖質ダイエットを選択しました。
結果は舞台をご覧下さい。
少し写真でもお見せしますが・・・

今回初使用の藤色の掛け

2012年12月10日13時04分05秒.pdf025.jpg

1日限りの孔雀の掛け

2012年12月10日13時19分14秒.pdf018.jpg

いつもの松竹梅の掛け

2012年12月10日13時04分05秒.pdf004.jpg


どちらがいいでしょうか?


少しだけは痩せたのですが

2012年12月10日13時04分05秒.pdf017.jpg

演目のお話は改めます。

本日はこれにて、皆様劇場でお待ちしています。


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コメント

今年の顔見世の楽しみである扇雀さんの夕霧
そのお衣装も可愛らしくて大好きです

黒の地色の掛けは、どちらも素敵です
が、松竹梅の柄の方が馴染みがあることもありますが
お色が華やかで可愛いので好きです

また、ピンク地の掛けは、とても素敵です
華やかで品格があって夕霧にピッタリだと思います

お衣装も楽しみに、来週末お伺いいたします

扇雀さん、こんばんは。お写真、すごくすごく綺麗です。5月に舞台で拝見したときと比べ、お顔がしゅっとして見えます!
糖質ダイエットはどのようなものなのでしょうか?辛かったですか?私も忘年会シーズンで体重が恐ろしいことになっていますので是非教えて頂きたいです。毎日寒いですね。お身体にお気を付けてくださいね。

お痩せになったのわかります。
そして、細かいひとつひとつにもこだわりがおありになるのですね。
これからもっともっと細部にも目をこらして鑑賞するのが楽しみです。
確かに松竹梅のお衣装の方がお色もはっきりして見栄えがして役にしっくりきています。
(素人目ですが...)

そういえば、、、
勘三郎さん、松本市の「名誉市民」に決まりました。
小沢征爾さん、草間弥生さんについで
これも松本にとっての誇りです。

たまねぎさん

舞台楽しんでいただくことが私達の生きがいです。劇場でお待ちしています。

坂下 由紀さん

ありがとうございます。糖質ダイエットブログで紹介致します。

mippoさん

名誉市民喜んでいると思います。松本の方たちの歓迎は私達を感動の渦に巻き込むんです。

9日と16日に昼の部を観劇しました。
3階席からでも扇雀さんがお痩せになったのがわかりました。今までに見た夕霧の中で、一番綺麗だと思いました。
このままずっと見ていたい、終わらないで~という気分になりました。
孔雀の掛けも素敵ですね。一度見たかったです。1日限りなのがとても残念です。
松竹梅の掛けと見比べるとやはり、孔雀の掛けだと今時な感じの夕霧に見えますね。
普段、歌舞伎を見ている時は頭の中で過去に見たものを思い出したりしながら見たりしますが、こうやって写真で見比べてみるのも楽しいです。
以前に買った舞台写真を引っ張り出してきて、じっくりと見比べてみようと思います。

あいさん

歌舞伎には多くの人の知恵が結集されています。
それが奥深さにつながっているのだと思います。

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