「8月歌舞伎座「野崎村」・「髪結新三」」
2013年9月 2日
久し振りの"久松"でした。
前回は大阪松竹座での上演でお光が勘太郎(現韓九郎)さんで他のお染・久作は今回と同じメンバーです。
この"久松"という役は勤め先のお嬢さんに手を出し子供まで作りその上濡衣を着せられ里に返され、幼なじみのお光と祝言を上げることとなり、そこにはらませた染が来てどうにもならなくなり、訪ねてきたお染の母に助けてもらい帰っていくという情けないというか、ずっと辛抱している役である意味しどころ無いきつい役です。
上方和事の柔らかみを出すことに注意を置いたこと、そして"女房じゃもの"でお染が腹帯を触らせて妊娠を告げられすべてを決意する瞬間がキーポイントだと思います。
お光の役はまだ努めていませんが幕切れの泣きの演出は六代目菊五郎発案と伝わっていますが、このお光を一度勤めてみたいと思っています。
自分なりの工夫が出来るような気がしています。
提供:松竹
「髪結新三」の"忠七"は初役です。
黙阿弥の作品は縁が少なくこの作品は"お熊"をかつて一度勤めたきりです。それも勘三郎の兄貴が初役で"新三"を勤め芝翫の叔父様に教えて頂き、その上演中に先代の勘三郎の伯父さんがなくなり、哲明(のりあき)さん(勘三郎兄さんの本名)と2人で終演後にお兄さんの自宅に戻った、記憶に残る作品です。
"忠七"も"久松"と同じくお主の娘とできてしまう役どころで何ともやりにくい役の1つです。
新三を勤める寿(ひさし)さん(三津五郎のお兄さんの本名)に台詞を時代で張るところや、鼻濁音について教えて頂き大変勉強になりました。
台詞を張るということは、台詞をリズムの中で伸ばして表現することです。また鼻濁音については癖でつい忘れがちになってしまいます。寿さんも山川静夫さんから近頃のアナウンサーも注意しないとダメなんですたしつこく言われたとおっしゃっていました。
死ぬ決意をして石を袂に入れる件は、かつて文七を勤めた時に哲明さんと見に来てくれた勝新太郎の叔父と3人で飲みに行った時、石ころを感情も大事だが、間で拾ってみろとおっしゃって目の前で勝叔父が演って見せてくれたのが今回の手本です。
2人共故人となってしまい、寂しい限りです。
新三の終わり方が中途半端なので中座で哲明さんが大岡越前と二役替り大岡裁きを付けたことがありましが成否は判りません。
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髪結新三の忠七、熱演でしたね!扇雀さんが舞台を盛り上げていました!これからも頑張ってください。
徹さん
ありがとうございます。忠七は難しい役です。勿論簡単な役など1つも無いのですが、やり慣れていない役柄は声の高さから所作まで自然体になりまで苦労します。
野崎村拝見いたしました!!
何ともいえない切ない気持ちになりました・・・。
扇雀さんのお光もぜひ拝見したいです!!
satomiさん
観劇ありがとうございました。是非"お光"演りたいですね。