「5日」
2013年11月 6日
今月も5日を向かえました。あたりまえのことですが。哲明(のりあき)さん(勘三郎さんの本名)亡くなって11ヶ月。
先日、本願寺でメモリアルイベントが行われましたが、中村座で一緒に過ごした僕や橋之助さん亀蔵さん彌十郎さんそして山左衞門さん勘之丞さん等は名古屋顔見世の千穐楽で参加できず残念でした。好江さんからはメールを頂いていましたが出席していなくても気持ちは「忘れません」の一言です。
その日にお兄さんも勤めた「西郷と豚姫」の"お玉"を勤めていたのも因縁です。
東京に戻り、巡業の「野崎村」の稽古を拝見に行きました。
巳之助さんが名古屋迄"久松"を私に習いに来てくれたので、国立劇場の稽古の後見に行きました。"久松"の役は辛抱する役ですが、人に教えると役の難しさが改めて判るものです。
どんな先人でも初めから名人はいません。回を重ねることで成長していくものです。
教えるのは得意ではありませんが、役の置かれている状況や周りとの人間関係、何故この台詞が口から出たかの理由をよく理解すること。周りの人の台詞で自分の話が出ていて第三者から見た自分がどうであるか知ること。ナチュラルにリアリティを持った言葉にするために場面以外の私生活でしゃべる時はどんな話し方をする人なのか。等と言うことを話したりします。
久松とお染は子供がいることが重要になってくるのでその神経を持つことを私は大事にしています。
哲明(のりあき)さんの話からずれましたが、一緒にいた時はいつもこうして芝居の話ばかりでした。
巳之助さんが「父は元気にしています。」と言ってくれた一言で安心しました。
寿(ひさし)さん(三津五郎さんの本名)舞台ご一緒出来る日を心待ちにしています。
哲明(のりあき)さん皆頑張っています。
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扇雀様
ブログアップありがとうございます!
久しぶりにこちらにコメントさせていただきまーす!
まもなく12月5日、そして毎月5日がめぐるたびに私も
1年前のあの日から今日までのことを思い出します。
扇雀さんのブログ、お話、お芝居、どこにも哲明お兄様が
息づいているのを感じます。
先月のおたま、ご友人のコトバに同感です。
歌舞伎界の新しい宝物ですね。
雲絶間姫を観に、名古屋まで行ったのですが、
「鳴神」はもちろん、
「西郷と豚姫」のお玉にすっかり心を奪われてしまいました。
あんなにしっとりと、リアリティがありながら
いやらしくならないのは、「女形」という形態、
そして扇雀さんの「心の目」でなさるお芝居ゆえ
でしょうか。
西郷さんへ生い立ちを語るシーン、
西郷さんから
「死ぬつもりだな」と言われた時の表情、
はたまた薬をのむところなど、目に焼きついています!
おっしゃるとおり、衣裳は膨張色も良いかもですね。
また、久松は「辛抱する役」とのこと、
子供がいるという点、
なるほど、と再び8月の舞台を思い返していました!
役者さんの視点からのお話が、
歌舞伎を観る際、いちだんと面白く感じられて
嬉しいです。
国立は中日過ぎ辺りに伺います。
どうぞお元気でお勤めください。
シコモアさん
ありがとうございます。
役者さんそれぞれで作り方が違うところがお客様にとっても楽しみの1つなのではないでしようか。演劇に正解はないので試行錯誤は生涯続いていくことでしょう。今月の父も大丈夫かなという言葉を今だに口にすることがあります。藝はやはり奥が深いというか、底が無いのでしょう。国立劇場でお待ちしています。