「「沼津」」
2013年11月 6日
11月国立劇場「伊賀越道中双六」が初日を向かえました。
大好きな演目で通し狂言「伊賀越道中双六」は鴈治郎家にとっても曽祖父・祖父が唐木政右衛門や十兵衛を代々演じてきた縁の深い演目です。
そして今月私の演じる"お米"は初役です。
と言っても初めてのような気がしないのはやはりこの演目に対する思い入れが強いからだと思います。
そして今回は父と兄の親子逆転という珍しい配役です。
久し振りの兄との共演ですが、兄の娘になるとは思ってもいませんでした。
"お米"は今は田舎で父娘の二人暮らしですが、以前は吉原で"瀬川"という名で勤めに出ていました。
娘の中にその過去を臭わせる部分をどのくらいどう出すかが1つの思案のしどろです。
あまり強く出すのも現在は武士を夫に持ちかたぎですので難しいところです。
十兵衛に初めて会ってうちに誘う時のお礼の言い方、手をついて「聞いてくださりませ」とお辞儀をする時に手の位置を真ん中から少しずらし微妙に色気を出す。台詞の抑揚や相手との距離感お礼の言い方等、充分男を知っている色気は必要なのだと思いますが、過度にならないことは大切だと思います。夫・志津馬(私の息子・虎之介が勤めています)を思い続けている事が最も大事でしょう。
印籠を見つけて十兵衛を追っかけて行く時父の平作に止められて言う台詞の中でで、歌舞伎では「股五郎のあり処を尋ね」という言葉を知っている範囲では皆さんおっしゃらないのですが、文楽では言っているので、私は今回は言うようにしています。
父娘2人で居る時はその名は口に出したほうがいいような気が致します。
十兵衛はいずれ必ず演りたい役ですので今回は代々受け継がれてきた父の十兵衛を吸い尽くすつもりで舞台にっています。
http://www.ntj.jac.go.jp/schedule/kokuritsu_l/2013/11121.html
是非劇場に足をお運び下さい。
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扇雀様、ご無沙汰いたしております!
土曜日に沼津を拝見します。
楽しみにしております!
9月には小劇場で文楽の沼津、そして先週は大阪でやはり文楽の沼津を拝見しました。今年の国立は東西沼津大ブレイクですね(笑)。
扇雀様
沼津拝見しました!
とっても不思議でしたのは、藤十郎丈、翫雀丈、そして扇雀丈のお三方いずれも実年齢なのではないかと思うぐらいでした。
藤十郎丈はますます艶っぽく、翫雀丈はそれまでの正直な人生が見えるよう、そして扇雀丈は悪いことと知りつつどうしても志津馬を助けたいという一途な思いが伝わってまいりました。
素晴らしいお舞台を拝見でき、どうもありがとうございました。
お嬢吉三さん
観劇ありがとうございました。この演目は本当にいい演目で、十兵衛を是非やらして頂きたいですね。
先日は丁寧なコメント返信頂きびっくりしました、ありがとうございました。ブログ見ていたら国立劇場へとても行きたくなりましたが、今月はもうどうしても動けないので我慢。文楽劇場は後日行くので勉強しておきます。十兵衛やられる時は必ずお伺いしますね!沼津はよく上演されていますが、鴈治郎家由縁だったのですね。来月の顔見世、チケット激戦でしたが、何とか希望の範囲の席ゲット、昼の部、楽しみにしております。確か1月歌舞伎座ですよね、2月も最近LCCで航空券安くなったので博多も行こうかなと思ってます。
tamさん
「沼津」は本当に味わいのある演目です。今回初めて出演しましたが脚本が優れていることは肌で感じます。十兵衛は本当に好きな役でもあり、やりがいのある役だと思いますので必ずやってみたい役です。また、博多座での「土屋主税」も玩辞楼十二曲の1つで鴈治郎家縁の演目ですので是非いらして下さい。