中村扇雀の公式ブログ

「「恐怖時代」」

2014年6月29日

8月歌舞伎座納涼歌舞伎で「恐怖時代」を上演することとなりました。

この演目は昭和56年8月に1日だけ武智鉄二古希記念公演として歌舞伎座で上演されて以来歌舞伎では33年振りの上演となります。
六代目歌右衛門の伯父さんのお銀の方で父・二代目扇雀の伊織之介という配役でした。
本興行では昭和51年の新橋演舞場で玉三郎のお兄さんのお銀の方と菊五郎のお兄さんの伊織之介という配役でした。

父が伊織之介で評判を取り原作者の谷崎潤一郎から直接褒められたということは以前耳にしたことかありましたが、私自身はこの演目を舞台で直接観ていません。
私の伊織之介で福助さんのお銀の方という配役でかねてから松竹の方に提案をしていた演目です。
今回、七之助さんの伊織之介に私のお銀の方という配役で松竹の方からご提案頂きました。
演出に齋藤雅文さんをお願いしたのは私の提案です。

谷崎潤一郎が戯曲として書き下ろした本作品はト書きに壮絶な描写もあり改訂版が出されたほど当時では斬新と言うかセンセーショナルな作品であったと思われます。
それを武智先生がかなりリアルに表現し話題になった作品です。

昭和26年に父が歌舞伎で初めて上演した後、現代に至るまで色々な演劇がこの世に出て、お客様も少々のことでは驚かれなくなっています。

齋藤さんと何度が打ち合わせをしていく中で谷崎潤一郎のドラマをきちっと描くことに重点を置くことで一致しました。

人が多く舞台上で死んでいきますが、谷崎潤一郎は純愛を描いたのではと考えています。
何とかそこの表現をご覧になった方に伝えられればと今は願っています。

「恐怖時代」という題名で敬遠なさる方もいらっしゃるかもしれませんが、8月の納涼歌舞伎ならではの演目ですので、是非ご覧いただければ幸いです。


映像の資料は一切なく舞台写真と台本そして、長唄の付け帳(台本のどこからどんな曲を下座音楽として演奏したかの記録です。)しか残っていません。

衣裳も今回は以前の方に倣わず新しく考えています。

楽屋での衣装選びからスチール撮影です。

見せ衣裳.jpgイメージ.jpg


イメージ 1.jpgイメージ 7.jpg

S10_4600_01.jpg


劇場でお待ちしています。

コメント(6)トラックバック(0)

コメント

扇雀様


心待ちにしていたブログの更新が嬉しくて、じっくりと読ませていただきました。


納涼歌舞伎の初日まであと4日!
第1部を2列目から鑑賞させていただきます。


先日”日本料理ほうおう”に於いて、葛西聖司氏による”八月納涼歌舞伎みどころ講座”に参加させていただきました。


”恐怖時代”の解説を伺いながら”お銀の方”を思い描いて、どのような舞台になるのかどきどきして.....でもとても楽しみになりました。


また、葛西さんがお話の中で一番熱く語られていたのが”輝虎配膳”についてでした。
その中でも、お勝が琴の調べにのせて思いを伝える場面は必見!とおっしゃっていました。

私は第2部は中日過ぎに鑑賞予定ですが、このお話を伺って”なんとか初日に一幕見席ででも拝見できないものか.....”と今検討中です。


待ちに待っていた納涼歌舞伎...たっぷり堪能させていただきます!


扇雀さん、猛暑の八月になりそうですが、どうぞお身体をお大切にお過ごしください。

8月納涼歌舞伎初日、おめでとうございます。


恐怖時代、鑑賞させていただきました。


もっとおどろおどろしい舞台を想像していたのですが、全体を通してとても美しく、今まで感じたことのない新鮮な感覚を味わいました。
2時間以上の間、ずっと背筋を伸ばして、息を呑んでいたように思います。


最後の場面、お銀の方が照千代の首を手にしての舞台中央でのあの時が止まったような瞬間!それが私のまさに正面で、ラストまで鳥肌が立って凍りついてしまいました。


ストーリーに深く入り込んでいたために、終わったときにはぐったりして......。でも心地良くて......。


扇雀さんの所作、表情......目の動き、一つ一つからお銀の方の胸の奥に秘めた思いが静かに、そして強く伝わって来る舞台でした。


新たな感動をありがとうございました!

初めてコメントさせていただきます。
昨日の初日に1人で拝見して、とてもよかったので
本日また母と息子を連れて恐怖時代を観ました。
この作品を観て、歌舞伎というものをまた一層好きになりました。
復活された演目や新しい演目は、歌舞伎の歴史的な時代の目撃者になれたような気がして
観る側にとってもとても嬉しいのだと感じました。
お銀の方・・・ステキでした。

うりぼーさん
ありがとうございます。8月は色々な試みや初役が多く楽しみな興行です。そして舞台を務めて成長していく月でもあると思っています。楽しみにしていて下さい。

うりぼーさん
有り難うございます。初日が開いたことをまず喜んでおります。伊織之介を演じたくてこの作品を読んでいてお銀の方を演ることになってからスイッチを切り替え読み込みました。舞台は相手のあることですので自分の中で稽古してイメージしているものと違ってくることもあります。5日間という短い稽古ですので、千穐楽迄に変わっていく部分もあるかと思います。もしも可能であれば一幕見で千穐楽近くにまた観ていただけたら嬉しいと思っております。

ROSEYさん
コメントありがとうございます。2度も観て頂いた上に歌舞伎を好きになって頂けて、その言葉は役者冥利につきます。本当にありがとうございます。これからも様々な演目を楽しんで下さい。それが歌舞伎の最高の魅力です。

コメントする

は必須項目です)

 サイト上には表示されません
   
 

トラックバック

このページのトラックバックURL:
http://www.senjaku.com/cgi/mt4/mt-tb.cgi/480