「2度目の「藤十郎の恋」」
2014年11月23日
来月の顔見世で2度目の「藤十郎の恋」の坂田藤十郎を努めます。
前回は父の坂田藤十郎襲名公演の時でしたので8年ぶりです。
玩辞楼十二曲の仲に数えられていますが、父も祖父2代目鴈治郎も務めている回数は少ない演目です。特に父は女優さんと務めることが何度かあり歌舞伎の脚本とはだいぶ違ってきています。
この作品は曽祖父初代鴈治郎が59歳の時に菊池寛原作の作品を大森痴雪に脚色させて作り上げた作品です。これは私の推測ですが5代目中村歌右衛門になりたかった、またなる気で居た初代鴈治郎は東京の成駒屋に5代目中村歌右衛門を継がれ、自分の中ではでは坂田藤十郎になりたいという気持ちが芽生えたと聞居ています。5代目中村歌右衛門誕生後8年後に菊池寛の「藤十郎の恋」が発表されて直後に舞台化をしているので初代鴈治郎は役の中でまず、坂田藤十郎になったのではと思っています。
それだけこの作品には思い入れがあったではないかと思っいます。
今回は原作を読み直し原作の中にある言葉を増やし無いところを削り初代鴈治郎の為に書かれた大森痴雪本をベースに作り直しました。
そしてどうしても観ておきたかったのが長谷川一夫主演の映画「藤十郎の恋」です。
初代鴈治郎の弟子であった長谷川一夫の伯父さんには子供の頃何度かお会いしていますが、
初代鴈治郎を知っている長谷川一夫主演の映画はどうしても観ておきたく、松竹の制作の方が貴重な映像を入手して下さいました。
役の雰囲気や衣裳等大いに参考になりましたが、座頭の風格や色気は凄まじい物があり、到底真似できるものではないと感じたのが正直な気持ちです。
今回は三場ある中で役者としての苦悩や執念等が出せたらなと思っています。
今回使った資料です。
長谷川一夫の伯父さんが映画の中で着ていた衣裳を参考に選んだ今回の衣裳です。
わずか3日の稽古ですが前回よりは完成度を上げたいと思っいます。
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はじめまして、こんばんは。
きのう、昼の部を拝見しました。扇雀さんが演じられた「藤さま」の、お芝居に対する気迫が強く伝わってきて、印象的でした。お衣装の色あいもとても素敵で、見とれてしまいました。すばらしいお芝居を、ありがとうございます。^^
今度は夜の部を拝見する予定なので、そちらも楽しみにしています。
日に日に寒さが増していますので、お身体ご自愛くださいね。関東から、応援しています。
純子さん
はじめまして。ありがとうございます。「藤十郎の恋」は難しい狂言ですが、今回で好きになった気が致します。これからも舞台楽しみにして下さい。