「四代目中村鴈治郎襲名披露初日」
2015年1月 2日
1年間に及ぶ兄の四代目中村鴈治郎襲名披露興行が本日幕を開けます。
「壽曽我対面」橋之助さんの工藤左衛門祐経、愛之助さんの曽我五郎時致そして私の曽我十郎祐成で幕開けです。
私達が教科書のように読んでいる六世尾上梅幸の残した「梅の下風」という口伝書には曽我十郎祐成は衣裳の襟を抜くのが本格ですと書いて有りますが、上方歌舞伎では襟は抜きません。鬘の髷の形も違ってきます。荒事と和事を五郎と十郎で表すのですが、上方は襟を抜かずとも和事味が出るので抜かないのではと思っています。
そして、決まりごとのような教えも多くあります。花道の出で工藤を見ながら歩き左手の島台は胸の紋の高さで肘を少し曲げること。十郎が五郎を止めるとき出した左足の膝は内に向けるとかまた、台詞の言い回しにも色々な教えが有りますが、教えて頂いた方により微妙な違いがあることも事実です。
先輩の舞台を観て覚える事も大切な勉強法である事は間違いありません。
いかに先輩の舞台を多く見てきたかが物を言います。
10代で歌舞伎から離れていた私にとっては最大のウィークポイントです。
父の敵に会いに来た気持ちを終止持ち続けることが一番大事な事ではないでしょうか。
そして工藤は座頭の大きさ。虎は立女形としての風格。朝比奈には三枚目の愛嬌等この一幕には歌舞伎の役々の特徴が網羅されています。そこを楽しんでいただきたいと思っています。
「封印切」は玩辞楼十二曲の内でも上演頻度の多い演目ですが曽祖父初代鴈治郎は独自の演出を編み出しています。それは幕切れの引込みを梅川を先に引っ込ませ忠兵衛は1人で引っ込む演出です。そこで役者の魅力をすべて放出します。また、忠兵衛は台詞の緩急や間のとり方、梅川との台詞の間合いは特に難しい部分です。私は父の忠兵衛で梅川を多く務めていますのでそこで父の忠兵衛の台詞の言い回しを直に覚えました。
兄は父と違う言い回しをしますがそれが兄の味となってきます。
封を切った後もそこから悲劇へ転がり落ちる分岐点ですので忠兵衛の心の変化をハッキリ見せなくてはいけません。
梅川は一緒に死んでくれと言われた後は以前は泣き落としと言って。義太夫の三味線に合わせで泣くのですが、数回前からは泣くより喜ぶようにしています。梅川の心理を考えるとそちらが正解だと思っています。
上方独特の義太夫に乗った恋愛悲劇を楽しんでいただきたいと思います。
口上も襲名披露興行ならではの一幕ですので役者の素の姿(化粧はしてますが)をお見せする一幕です。楽しみになさって下さい。
本日初日。1年間兄の四代目中村鴈治郎襲名披露。皆様ご支援のほど心よりお願い申し上げます。
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明けましておめでとうございます。
ぼくは京都市の小学三年生です。
お母さんと初日に行きました。
川さんが声もかわいいと思いました。
家の駅に着くと顔見世で見た新口村みたいに
雪で真っ白でした。
とこなつさん
明けましておめでとうございます。最年少のコメントだと思います。ありがとう。すごく嬉しいです。新口村も見てくれているんですね。これからもずっと歌舞伎を楽しんで下さい。僕も楽しんでもらえるように頑張ります!
寒いから風邪ひかないで下さいね。
明けましておめでとうございます。
私の初歌舞伎は、
御目出度い「四代目中村鴈治郎襲名披露」の「壽曽我対面」。
お正月からとても華やかで御目出度い舞台に出会えることが嬉しいです。
上方歌舞伎の「壽曽我対面」は、
初めて拝見するのでとても楽しみにしています。
また、
扇雀さんの十郎・
愛之助さんの五郎という、
全く想像していなかった対面に、
とてもわくわくしています。
そして、
最近立役を拝見することが多かった、扇雀さんの
とても久しぶりな感じのする大好きな傾城梅川。
立役も素敵な扇雀さんですが、1番好きなのは、近松の傾城です。
先月拝見した顔見世の新口村へと繋がるストーリなので、記憶も新しく、
より深く感じることが出来ると楽しみにしています。
明日、昼の部に伺います。
たまねぎさん
明けましておめでとうございます。愛ちゃんと芝居をするのは久し振りですので楽しみです。また感想をお聞かせ下さい。今年も宜しくお願いいたします。