中村扇雀の公式ブログ

「「メトロポリス」と「三代目、りちゃあど」」

2016年11月27日

26日二本立てで観てきました。

「メトロポリス」はシアターコクーン串田和美さんの演出でご自身も出演しています。
舞台は串田ワールドが展開され音とダンスと道具の展開そして松たか子さんの歌と2時間強休憩無く一気に芝居が運びます。今年のコクーン歌舞伎で共演した真名胡さんや大森さん内田さんも出演しています。串田さんが目指す色々な表現の可能性を感じました。強いドラマ性とか入り組んだストーリーがあるわけではないのですが、生の演奏の中で目の前の舞台空間でに起こっている非現実の世界の中から観客それぞれの現実へ感覚的に結び付けていくこと。演劇の一つのあり方だと感じた舞台です。5ヶ月前に「四谷怪談」を上演していた舞台の客席に座り思い出しつつも次は何をと思いを巡らします。


「三代目、りちゃあど」は池袋の芸術劇場のシアターウエストでの上演
野田秀樹さんの約30年ほど前の作品でシンガポールの演出家オン・ケンセンの創り出す独特な世界に引きずり込まれました。甥の壱太郎が主演の1人として出ているので必ず観たかった芝居なのですが、当日は東京公演の初日で隣の席に作者でもあり芸術劇場の芸術監督という立場でもある野田さんが着席され、またしても観てる場合じゃないでしょの会話を交わし「足跡姫」のことはしばし忘れての観劇となりました。
演出はシンガポールの方ですが野田さんの作品の特徴を非常によく理解してるなという驚き。そして外人の方は英語中心のセリフで字幕が左右に出るのですが、次第に慣れて違和感無く芝居に集中できました。劇評など書くつもりはありませんが観終わって全体をとおし演出家の方のすぐれた才能をまず感じ壱太郎がいい経験をしたことを嬉しくも羨ましくも思ったのが最初だったと思います。
野田さんの作品の中で韻を踏む台詞が散りばめられているのは特徴の一つですが、英語に訳すとその部分の面白さが半減するのですが、ジャニス・コーさんの英語の台詞にはそのリズム感とテンポが失われて無くあたかも日本語で韻を踏んでいるがごとくの台詞術と発声が心に残りました。野田さんも喜んでいました。このジャニス・コーさんとたきいみきさんが特に印象が強く好きな役者さんでした。茂山あきらさんのご子息茂山童司さんも出演していて壱太郎と茂山さんは自分が今まで勉強して身につけてきた武器をフルに発揮して存在感を示していました。しかしそれぞれは歌舞伎役者と狂言師が演じていることを感じさせます。演出家の方の狙いだと思うのですが成功でもあり予想の範囲内でもある物足りなさを感じたのは役者という立場からだと思います。他のお客様は逆にそこが面白く感じられてると思います。是非この作品多くの方に見て頂きたい。
東京公演は12/4迄です。
終演後ロビーで関係者の初日の乾杯があり、参加させていただいたのですがその場でも野田さんと今見た芝居の話は勿論するのですが「足跡姫」面白くしようねいい本書くから!どうしても次の芝居の話になってしまいます。が、まだ全体像が見えてきません!私は立役です!

他の方の舞台を見ることは自分への最高の刺激です。
12月12日から「足跡姫」の稽古。
それまでは嵐の前の静けさに身を沈める日々を送ります。

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コメント

先月までの歌舞伎座公演が終わり、(観客なのに)しばらく気が抜けたようになっておりました。初めてサインしていただいたプログラムを目にすると、納涼から先月の舞台まで折々に伺った扇雀さんと芝翫さんの温かいご様子が浮かんで心温まります。観劇の記念に大切にさせていただきます。ありがとうございました。
先日地元で久しぶりに現代劇を観たら、歌舞伎と間が違うのに戸惑い、そんな自分にまた戸惑いました。いつのまにか歌舞伎に浸っているのかもしれません。現代劇を演じられる歌舞伎役者さんというのは、凄いことをされているんだなぁとつくづく思います。観客として、歌舞伎を深く感じられるようになるのは喜びですが、現代劇もニュートラルに受け止められるようでありたいと、足跡姫のことも頭に浮かびつつ、思いを巡らせました。
何かつかみどころのないコメントで申し訳ありません。

花梨さん

野田さんの舞台は観る方それぞれでかなり感じ方が違うと思います。
良い悪い、好き嫌い、などの感覚よりも野田ワールドに入って来て下さい。
何これっと思った瞬間壁ができます。その壁を作らないようにしていただきたいというのが私からの希望です。

三代目りちゃあど、ようやく拝見できました、私は楽しかったですね、ますます足跡姫が楽しみになりました。美術、照明も美しく、野田節も色褪せる事なく懐かしかったです。それに加え、ワヤンクリット(影絵)までプロの方が参加だなんて、ごちそうでした。3ヶ国語入り乱れての台詞、面白かったですね、歌舞伎言語や博多弁まで。歌舞伎ファンには苦手、または見ないという人もいるようですが、自分的には野田さん、昔見ているし、勝手に馴染みです、笑。壱くんも良いチャンスに恵まれましたね、実際には約140分、ほぼ出演状態と、かなりハードだとは思います。

tamさん

野田ワールドは本当にハイレベルな次元なので見る方もものすごく集中しますよね。壱太郎は本当にいい経験だと思います。演出家の期待にしっかり答えていたと思います。次はいよいよ私の番です、、

あ、でも野田ワールドはハイレベルですけど、上方歌舞伎や文楽の世界のチャリ場が入りますよね、ふふって笑える。これは歌舞伎役者さんとのお仕事に限らないですね。とりあえず、歌舞伎より緩い稽古スケジュールのはず、集中して楽しんでみて下さい。

tamさん

確かに稽古期間は長いのですが、無からのスタートなので実際は足りないくらいかもしれません。本日からの稽古、初心不可忘で臨んできます。

お誕生日おめでとうございます!勘三郎さんの記事に書くのも変なので、こちらに書かせて頂きます。先日は京都顔見世に行き、扇雀さまのいらっしゃらない不思議感。12月といえばいつもツリーやお誕生日の話題でしたし。そして先日はまた国立の山科閑居を見て、碁盤太平記を鮮明に思い出しましたから、評判に違わずかなりの出来だったと改めて思いました。雪転がしがあり、ちょうど碁盤の始まりと同じだなあとか。寒くなりましたがお稽古頑張って下さいね!

tamさん

ありがとうございます。誕生日のブログさっきアップしました。すいません。碁盤太平記またやりたいですね。しかし今は「足跡姫」に集中です。

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