「国性爺合戦」
2018年3月19日
3月歌舞伎座に戻ってきて昼の部の序幕で「国性爺合戦」の錦祥女を初役で務めています。
2月博多座の千穐楽が25日で26日に帰京し27日から3月2日迄の4日間の稽古です。
初役で義太夫狂言の稽古が4日間は少ないのですが日程の都合上与えられた事をこなしていきます。各日1回通して終わりですので計4回。舞台での稽古が今回は2回。衣裳が初日前日迄出来ず衣裳と鬘を付けた本番どおりが1回。
中日を迎えた15日迄も義太夫さんと演目終了後に連日チェックです。
演出家の居ない古典は役者あるいは教えて下さった先輩が演出家となります。
今回は私自身が演出家の目を持っての上演となります。
まず最初は文楽の映像を繰り返し見て言葉の訛りから勉強を始め、役の空気感や性根等を探り出していきます。
歌舞伎の台本は先輩方が文楽の床本を元に歌舞伎上演様に改訂したものです。
今回も父が上演した時の台本をベースに印刷したのですが、その後文楽を見ていて抜いてある箇所や歌舞伎用に変えてある部分を自分なりに再確認していきます。この言葉は入れておいた方がいいなと思う箇所は復活させたりもします。
また、竹本さんの語る部分を私が台詞で言う箇所を増やしたり役を作り上げていきます。
最初の「楼門」の場は特に竹本即ち義太夫が重要になってきます。
義太夫狂言はいわば音楽劇ですので、そのできの良し悪しが作品の出来栄えを左右していく大きな要素の一つとなります。特に台詞ではなく義太夫に合わせて身体表現をする部分ではこちらの感情と義太夫さんの感情そして間とリズムが一体化することが要求されます。
文楽は人形が表現しますが歌舞伎は生身の人間が表現しますので、よりリアリティが必要になってきます。そのリアリティこそが芝居を盛り上げていく根本だと考えていますので最も大切にしたいと考えています。
初めての役は実際に幕が開いてからお客様の反応や臨場感で役が成長していきます。今回も日ごとに役が体に馴染んでいく感覚があるんです。
役は松竹のプロデュサーの方が決めるのですがどんな役でもまず好きになること。
自分の演じる役を好きになること。これも大切なアプローチです。
今回も運命に翻弄される錦祥女は大好きになりましました。
お客様に感情移入していただけるよう日々務めています。
残り1週間となりましたが、上演回数の少ない本作品を是非御覧下さい。
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御無沙汰しております。先日錦祥女、一回目拝見しました、義太夫に強い扇雀さんの解釈と、安心して観れました、ラスト二回拝見する事になりますが、きっと更に役に入っていらっしゃる事でしょう。義太夫も良かったです。話が途中からなので初めての方には見づらいかなあと思いつつ、評判も上々で何よりです。今月は朝から上方祭で嬉しいです。扇雀さん主導の一芝居、暫く観ていないなあと、8月あたり何か掛からないかな、南座も復活しますしね。
tamさん
観劇ありがとうございます。義太夫狂言は歌舞伎にとっても大切なものですからしっかり継承して次につなげていきたいと思っています。
扇雀さま
美しい舞台写真をありがとうございます。
初日に拝見しました。
運命に翻弄される錦祥女を見事に演じられていらしたなぁ~と!
歌舞伎は奥深く毎回楽しみながら勉強しております。
昨年12月の京都顔見世・1月歌舞伎座・2月博多座・3月歌舞伎座と毎月観劇し、幸せな時間を過ごしました。
5月のコクーンも楽しみです♪
季節柄、ご自愛くださいませ。
くまさん
いつもいつもご観劇ありがとうございます!
今月も残すところあとあと5日となりました。
日に日に錦祥女が染み込んで来ている感じが致します。
今回のコクーン。どうなりますか、今はまだ何も申し上げられませんが、私の役は見た事ない場面ですのでゼロから作り上げていきます。
実際に 見て 情が 凄く 出てる 場面 の 上演なのだなと
あらすじ 読むだけでは わからない事が あるなと 思いました。今月は 我慢しようかと 迷いましたが
やっぱり 行って 良かったです
上方の お芝居だと ぴったりだわと 思いました
1月は 友人と 観劇できて 楽しい 年明けで
なるべく、誰かと 行けるように と 考えてます
ロームでの 文七元結 が
皆さんの 全体の一体感 雰囲気が 何とも いえず
かなり 良かったです
あけみさん
続けての観劇ありがとうございます。近松門左衛門の義太夫狂言はまだまだ沢山ありますので大事に上演していたいと思っています。