中村扇雀の公式ブログ

2020年8月記事一覧

「歌舞伎特選DVDコレクション「藤十郎の恋」」

2020年8月21日

歌舞伎特選DVDコレクションの最新版
NO26「玩辞楼十二曲の内 藤十郎の恋」

父の歌舞伎座での4代目坂田藤十郎襲名披露公演の折に坂田藤十郎を初役で努めた舞台のDVDが、歌舞伎特選DVDコレクションの最新号として売り出されました。

此の役を務めるにあたっては、長谷川一夫さん(祖父の義理の弟)の映画「藤十郎の恋」を何度も見返し、その演技や演出を参考にし、衣装も真似て作った思い出深い作品です。

是非、ご覧下さい。

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「休演日」

2020年8月19日

労働基準法に照らし合わせて公演日が今迄の25日間から1日短縮されました。
そして公演中に2日間の休演日が新設された今月の公演。

本当に休みは必要だと痛感しました。

これまで25日間連続して当たり前の様に舞台に立っていましたが、人間休息も必要だなと実感しました。コロナ禍ですので出歩くわけではありませんが、精神的にも休まります。

今月はコロナで何もかもが様変わりしてしまい楽屋の風景も一変しています。
誰にも合わない。お客様は勿論、家族、番頭も出入り禁止。
楽屋口で検温をしノートに連日体温が表に書き込まれ、誰もいない廊下を楽屋に向かい楽屋には付き人さん1人。挨拶に来るのは一門のお弟子さんかなめと扇十郎のみ。
化粧を始め衣装を着る段階で衣装屋さん、床山さん1人づつ楽屋に入り、共演者には舞台の袖で初めて挨拶。大道具さんはその時点では誰も舞台上にはいません。
長唄さん鳴物さんが特別マスクをして舞台上の山台に全員着席して待っています。

幕が開くと大向こうはなし、前後左右を開けた客席にお客様は座られ、客席の扉は開け放たれ声がつい大きくなってしまいます。
パンフレットは売り出されず無料で一枚に配役などを書いた案内が配布されます。

転写、ブリントアウトは禁止です ↓

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近くで台詞を話す時はわざと離れる仕草でコロナの時事ネタも入れつつ一幕が終わると楽屋に一直線で戻り速やかに楽屋から退出。此の連続です。

パンフレッが売り出されていないので必然的に舞台写真入りパンフレットは販売されませんので、通常行っていますサイン入り番付の販売も今月は行えません。申し訳ございません。

その代わりと言ってはなんですが、通常劇場内で行っているブロマイドの販売を歌舞伎座地下の木挽町広場で行っています。。是非お立ち寄り下さい。
ご観劇の有無は関係ありません。

転写、プリントアウト禁止です ↓

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こんな感じで全演目が並んでいます。

残り1週間、このまま無事に千穐楽を迎え新しいスタートを成功させたいと願っています。

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「夏真っ盛り」

2020年8月13日

信じられない暑さが連日続いています。
マスクの外出も注意が必要になっています。コロナ対策と共にに熱中症対策が必要になって来ました。水分補給心がけましょう。

そんな中、松本歌舞伎出演がきっかけで仲良くなった松本プルワリーの林幸一さんから、出来立てのビールが届きました!

独特の風味とキレで大好きです。

下記からお求めいただけますので、是非試してみてください!

https://matsu-brew.com

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「YouTube歌舞伎ましょう」

2020年8月10日

日本俳優協会・伝統歌舞伎保存会【公式】YouTubeチャンネル
「歌舞伎ましょう」

コロナ禍の中歌舞伎役者が作る公式YouTubeチャンネルが開設されました。

8月の出演者が扮装のまま皆様にご挨拶を致しました。

私も初めてコメントをいたしました。
歌舞伎座に今月来られない方は是非ご覧ください。
また、いらして頂いた方も公演を振り返りつつ見て頂けたら嬉しいです。

https://www.youtube.com/watch?v=FmUPkVg1GRs

なお、映像内で私が持っている厄除のシールは私の一つ前のブログで紹介していますのでそちらもご覧下さい。

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「コロナ退散」

2020年8月 5日

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橘 右之吉さんの手によるシールタイプの魔除のお札です。

興味のある方は下記のリンクから問い合わせて下さい。

https://unos.co.jp

8月1日にやっと5ヶ月ぶりの開演となった歌舞伎座ですが、昨日微熱者が3部関係者の中に出たため大事をとって3部のみ休演をし至急PCR検査を実施して陰性の結果が深夜に出て本日の公演は通常通りの上演となりました。

お客様に感染者をお出ししないと言うモットーで開演いたしましたので突然の休演で昨日ご迷惑をおかけした事をお詫び申し上げます。
他の部の公演に支障が出なかったのも各部の関係者は完全に全員入れ替え制を最初から取っていたことが功を奏したのだと思います。

客席のお客様は半減していますが舞台の上でお客様に相対していることの喜びは役者という職業の特権だと痛感しています。
客席のドアも空け離れたままなので音が外に逃げている感じはしますが不便は感じていません。コロナと共存の第一歩です。
正直、インフルエンザでこんな事態にはらないので何故という気もします。
日々の抵抗力を自分自身でつけと行くことも大事なのでしょう。
千穐楽まで再開の公演が無事に行われます様毎日祈念しています。

不安はおありかと思いますが歌舞伎座関係者一同万全の準備をしてお客様をお迎えしています。
是非歌舞伎座でコロナの影響で暗くなったお気持ちを晴らして頂きたく舞台でお迎えしています。ネットでチケットを簡単に申し込めます。私達歌舞伎役者も公演がなく収入源がなくなり正直先行き不安でした。1人でも多くの皆様から私達もお力を頂きたいと願っています。

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「棒しばり」曽根松兵衛を努めて楽屋でのショットです。

初役ですし役回りとして回ってくるとは思っていなかったお役でした(笑)
毎年納涼歌舞伎と銘打って8月の公演を盛り上げて来たので、その8月から公演が再開された事は本当に嬉しく思っています。
このままコロナの重症者の数が抑えられ変異したウィルスの風邪の一種という感覚に全国的になり徐々にかつての生活に戻っていく事を切に願っています。

チケットに余裕があります。

お盆休みに是非通常より安いお値段で観られる歌舞伎座に足をお運びください!

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「歌舞伎再開」

2020年8月 2日

長い自粛期間を経て歌舞伎座にお客様を再びお迎えする日が来ました。

自粛期間中はウォーキングが日課になり、代々木公園、明治神宮はコースの中によく組み込んで新鮮な空気を吸うことが楽しみです。
毎月1日の日は参拝しコロナ禍収束と歌舞伎再開を祈念し平均20,000歩のウォーキングを続けていました。
8月1日歌舞伎座再開の初日
梅雨明けを思わせる青空の中、朝から明治神宮に参拝してきました。
午前9時過ぎ、土曜日と1日が重なったせいか、人出は自粛中に比べると格段の増加です。
境内に10人以下の日は当たり前だった頃を思うと少しずつ平常に戻りつつあるのかなとは感じます。
しかし、ここ数日の報道では第2波を予感させるものばかりです。
本殿から西参道出口に向かうと宝物殿の前の広場に国旗が掲揚されています。
芝生に腰を下ろし風にたなびく国旗を見上げると何故か心が落ち着きます。
日本人を自覚する瞬間です。そして、日本独自の伝統芸能である歌舞伎に携わっている事を幸せに感じる時でもあります。
数分間晴天の空を眺めてから帰路につき歌舞伎座に向かいます。

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人生には三つの坂がある。上り坂、下り坂、そしてまさかという話を聞いたことがありますが、そのまさかが現状です。街を歩いていても映画のワンシーンを見ている様でマスクが当たり前になって、それを受け入れている。元に戻ることはあるのだろうか。
三月歌舞伎座公演で無観客の中で映像を撮りYouTubeアップした際も、無観客の中での上演に違和感を覚えていました。初めての経験ですので目の前のお客様に観て頂いいたものをどこに向かっているのかつかみどころのない不安に駆られて、集中力が上がらなかった事を覚えています。

それが、今日人数制限とは言えお客様の前で舞台に立てる日がついにやってきました。
全ての関係者が抗体検査・PCR検査を受け全員陰性の結果を受け初日を迎えました。
楽屋には家族も番頭も松竹関係者も立ち入り禁止。各部の関係者は開演1時間前から入場可で終演後は45分以内に退出。他の部の関係者とは一度も顔を合わせません。厳戒態勢を敷いています。出演者が陽性となった場合は通常歌舞伎では決まっていない代役を前もって決めて公演が継続できる様になっています。これも今までにない試みです。
楽屋間の挨拶は無し。
とにかく全てが一変しました。

13時45分
2部開演の時刻を迎えると場内に勘九郎さんのメッホージがアナウンスされます。
口上の代わりです。出演者皆で録音し日替わりで流します。
そして放送終了間際に自然と拍手が起こり鳴物の片しゃぎりが始まりいよいよ緞帳が上がります。
出番となり下手の幕が上がり舞台に足を踏み出すや否や、もの凄い拍手に迎えられ、立ち止まって台詞を言い出そうにも言い出せません。感動している場合ではありませんが胸が詰まりました。客席は半減しているのにこんな大きな拍手・・・人の力、エネルギーは凄い。

開演前に雅行(勘九郎さんの本名)が変に緊張しませんか、というと僕はなんだかまだ実感が湧かず、朝も明治神宮にウォーキングしてお参りしてえっ今日から舞台なのっという現実に戻れてないのかなと言うと、みっくん(巳之助君の本名)は僕はその間くらいです。などと相互の楽屋に入れないので舞台袖で初め会話を交わして開幕を待っていました。

本当に久しぶりの舞台。出の1分ほど前から急に緊張感が襲ってきて目が集中して一点を見つめ始めます。幕を開ける合図を口にして舞台に出た瞬間、非現実の世界に僕自身も引きずり込まれる思いでした。
演目は狂言から題を取った「棒しばり」ですから内容は喜劇です。
再開にふさわしい演目だと思います。あっという間の45分間が過ぎ幕が降りても拍手が鳴り止みません。

二度と幕が上がらない事はないこの日が来ることは分かっていましたが、この数ヶ月皆様色々な事を考えまさかの中で精神的にはじっと堪え大変な思いをして過ごされたことと思います。そして医療従事者の方を筆頭に大変な思いをして心と身を削って日々過ごされて来たと思います。
戦後焼け野原になったところから歌舞伎を再開できたんだから大丈夫、今度も必ず乗り越えられるよと親しい松竹の方も力強く言ってくれました。

無事に初日が開き多くの方にまた歌舞伎を楽しんでいただける日が来ました。

公演の仕方は様変わりしてご不便をおかけしましたが、是非歌舞伎座にお越しくださりこんなこともあったねと言う語り草にして頂けたらそれだけで嬉しく思います。

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