中村扇雀の公式ブログ

「歌舞伎再開」

2020年8月 2日

長い自粛期間を経て歌舞伎座にお客様を再びお迎えする日が来ました。

自粛期間中はウォーキングが日課になり、代々木公園、明治神宮はコースの中によく組み込んで新鮮な空気を吸うことが楽しみです。
毎月1日の日は参拝しコロナ禍収束と歌舞伎再開を祈念し平均20,000歩のウォーキングを続けていました。
8月1日歌舞伎座再開の初日
梅雨明けを思わせる青空の中、朝から明治神宮に参拝してきました。
午前9時過ぎ、土曜日と1日が重なったせいか、人出は自粛中に比べると格段の増加です。
境内に10人以下の日は当たり前だった頃を思うと少しずつ平常に戻りつつあるのかなとは感じます。
しかし、ここ数日の報道では第2波を予感させるものばかりです。
本殿から西参道出口に向かうと宝物殿の前の広場に国旗が掲揚されています。
芝生に腰を下ろし風にたなびく国旗を見上げると何故か心が落ち着きます。
日本人を自覚する瞬間です。そして、日本独自の伝統芸能である歌舞伎に携わっている事を幸せに感じる時でもあります。
数分間晴天の空を眺めてから帰路につき歌舞伎座に向かいます。

IMG_0838.jpeg

人生には三つの坂がある。上り坂、下り坂、そしてまさかという話を聞いたことがありますが、そのまさかが現状です。街を歩いていても映画のワンシーンを見ている様でマスクが当たり前になって、それを受け入れている。元に戻ることはあるのだろうか。
三月歌舞伎座公演で無観客の中で映像を撮りYouTubeアップした際も、無観客の中での上演に違和感を覚えていました。初めての経験ですので目の前のお客様に観て頂いいたものをどこに向かっているのかつかみどころのない不安に駆られて、集中力が上がらなかった事を覚えています。

それが、今日人数制限とは言えお客様の前で舞台に立てる日がついにやってきました。
全ての関係者が抗体検査・PCR検査を受け全員陰性の結果を受け初日を迎えました。
楽屋には家族も番頭も松竹関係者も立ち入り禁止。各部の関係者は開演1時間前から入場可で終演後は45分以内に退出。他の部の関係者とは一度も顔を合わせません。厳戒態勢を敷いています。出演者が陽性となった場合は通常歌舞伎では決まっていない代役を前もって決めて公演が継続できる様になっています。これも今までにない試みです。
楽屋間の挨拶は無し。
とにかく全てが一変しました。

13時45分
2部開演の時刻を迎えると場内に勘九郎さんのメッホージがアナウンスされます。
口上の代わりです。出演者皆で録音し日替わりで流します。
そして放送終了間際に自然と拍手が起こり鳴物の片しゃぎりが始まりいよいよ緞帳が上がります。
出番となり下手の幕が上がり舞台に足を踏み出すや否や、もの凄い拍手に迎えられ、立ち止まって台詞を言い出そうにも言い出せません。感動している場合ではありませんが胸が詰まりました。客席は半減しているのにこんな大きな拍手・・・人の力、エネルギーは凄い。

開演前に雅行(勘九郎さんの本名)が変に緊張しませんか、というと僕はなんだかまだ実感が湧かず、朝も明治神宮にウォーキングしてお参りしてえっ今日から舞台なのっという現実に戻れてないのかなと言うと、みっくん(巳之助君の本名)は僕はその間くらいです。などと相互の楽屋に入れないので舞台袖で初め会話を交わして開幕を待っていました。

本当に久しぶりの舞台。出の1分ほど前から急に緊張感が襲ってきて目が集中して一点を見つめ始めます。幕を開ける合図を口にして舞台に出た瞬間、非現実の世界に僕自身も引きずり込まれる思いでした。
演目は狂言から題を取った「棒しばり」ですから内容は喜劇です。
再開にふさわしい演目だと思います。あっという間の45分間が過ぎ幕が降りても拍手が鳴り止みません。

二度と幕が上がらない事はないこの日が来ることは分かっていましたが、この数ヶ月皆様色々な事を考えまさかの中で精神的にはじっと堪え大変な思いをして過ごされたことと思います。そして医療従事者の方を筆頭に大変な思いをして心と身を削って日々過ごされて来たと思います。
戦後焼け野原になったところから歌舞伎を再開できたんだから大丈夫、今度も必ず乗り越えられるよと親しい松竹の方も力強く言ってくれました。

無事に初日が開き多くの方にまた歌舞伎を楽しんでいただける日が来ました。

公演の仕方は様変わりしてご不便をおかけしましたが、是非歌舞伎座にお越しくださりこんなこともあったねと言う語り草にして頂けたらそれだけで嬉しく思います。

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コメント

本日、松竹座以来の観劇となりました。
扇雀さんのアナウンスでは、自粛期間中のつらさや、8月の舞台を無事に成功させたいみなさんの想いがひしひしと伝わり、自然と涙がこぼれました。
新しい生活様式の中で、この先も歌舞伎を見続けられるよう、私たち観る側も今一度自身の緊張感をしっかりと持つことが大切だと痛感し、また、舞台があることはとても有難いこと、当たり前のことではないと再確認できました。
幕が降りたあとも鳴りやまない拍手に参加できたことは、一生の想い出と言っても過言ではありません。
この先もくれぐれもお身体ご自愛いただき、私たちを楽しませてください。
後半もう1度拝見させていただきます。
どうか無事に千穐楽をお迎えくださいますよう、心より祈念いたします。

歌舞伎座公演の再開おめでとうございます。
私も後半で観劇に行きます。
まだまだ予断は許されませんがどうか無事に千秋楽まで公演があること願っています。
歌舞伎の公演を心待ちにしながら今日は南座の体験ツアーに参加してきました。
舞台にあがらせて頂いてセリの上げ下げの体験や花道を歩かせて頂いたり夢の世界でした。
緞帳があがり客席のライトが照らされる演出は涙がこぼれました。
扇雀サンの舞台が近々観れると思うとワクワクが止まりません♪
楽しみにしています!

歌舞伎座再開、千穐楽おめでとうございました。
コロナ禍、猛暑の中お疲れ様でした。
残念ながら劇場に足を運ぶことはできませんでしたが、役者さん方のご活躍をお祈り致しておりました。
また劇場で生の歌舞伎を拝見できるのを楽しみにしております。
ブログも楽しみにしております!
今後も熱中症にも気をつけてお過ごしくださいませ。

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